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一枚板の特徴
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一枚板の特徴を理解していただく

現在検討中の一枚板を購入して大切に使っていると 「反ってグラついてきた」「季節に応じて反ったり戻ってきたりしている」
「割れが広がってきている」なんてことは一枚板の特性から発生する可能性があります。

この反りと割れというのはどれだけ対策をとっても一枚板・無垢材の性質上必ず付いて回るリスクです。

自然のものを使うにはこのリスクを知っていただくことが重要です。
一枚板テーブルだけではなく、フローリングや建具などすべてに通じる知識です。

木の性質を知ればその対策も理解できて、購入の参考に、購入後のメンテナンスにととても役に立つ情報です。

なるべく理解しやすいようにまとめておりますので、是非最後までご覧ください。

一枚板・無垢材の乾燥工程


木材は製材(丸太をスライス)したばかりの木材は必ず反ります。
その原因は木の水分が原因です。伐採されたばかりの木は部位によっても異なりますが含水率が150%ともいわれます。
製材したばかりの木は触ると濡れている程です。

100%を超えるって普段の感覚から言うと不思議ですよね。
人の体は60%が水と言われており、100kgの人の60㎏分がが水分ですよね。

木材の世界は異なった表現で組織の質量に対してどれくらいの水分があるかですので、100kgの組織に60㎏の水分で60%となります。

このような表現の方法を「含水率」と言います。読み方は「がんすいりつ」です。

水分は蒸発する特性がありますので、屋外に木材を置いていると水分はどんどん抜けていきます。
丸太のままだと乾燥に時間がかかるので丸太を製材(スライス)し、桟を入れて乾燥させてあげます。



含水率100%以上の大量に水を含んだ木材を屋外で乾燥すると非常に長い年月をかけて約20%前後まで下がります。そこまで木材内部から水分が抜けるため、乾燥時には反り・割れというのが必ず発生します。


樹種・季節によって異なりますが杉の場合、丸太の中心の芯材が含水率約50%ですと、丸太の外側の辺材は約150%ほどになります。
そして、その水分が蒸発すると外側がより縮みますので、年輪の中心の反対側(木表)外側に向かって反ります。

写真で言うと上部が凹むように反ります。
強く反ったり、収縮により木材自身を割ってしまうほど強力な力があります。

乾燥時には写真の木材くらい反るのは普通です。全体的に反り、耳に近い部分はより水分が多かった部分なので痩せも強く出ます。



反る方向も丸太の製材の向きにより変わってきます。この様に挽き方により、板目・柾目という呼び方があります。


製材の方向で板目と柾目と言い方が異なり、イメージ図ですが、この様に木材の表情も違います。


そして見た目が違うだけでなく、この様に反り方も変わってきます。
一枚板の場合はこの二つの特徴が一枚にまとまったイメージで構いません。

板目は図で言うと上下で水分量が違う為、反ってきます。
柾目は左右で含水率が違う為、横に収縮します。

乾燥前は辺材(丸太の外側)がより水分量が多い事を考えれば、そのメカニズムも分かりやすいと思います。
反りの動きは製材の向きにより変わり、乾燥具合・個体差により反りの強さが変わります。

この乾燥がとても大切で、一枚板・無垢テーブルを一生使うには欠かせない工程です。
良い木材の為には、まずはしっかり乾燥させることが重要です。

現代の室内は気密性が良く、エアコンを使うなど高度な乾燥状態にあります。冬場の暖房を使用する環境は木材には大きな負担になるほどに乾燥している為、まずは木材自体をしっかり乾燥させる必要があります。

乾燥方法は、まず自然乾燥を実施します。屋外で雨風にさらされながら3年前以上、時間が必要な木材ですと10年以上乾燥させた木材を使用します。

少し専門的な話をすると、まずは自由水という細胞内腔や細胞壁の外の比較的自由に動ける水分がまず抜けます。

そのあとに結合水という細胞壁内で組織としっかり結びついている結合水というものを抜いてしっかり乾燥してあげます。
この結合水が抜けるとき、細胞壁の厚みが変わるため反りが発生するのです。

※「自由水」「結合水」は難しいイメージになるので、特に気にしなくていいです。
水が抜けているんだな~程度で全く問題ありません。

その後、人工乾燥をしてより反りにくい状態にます。

人工乾燥と一言で言っても様々な方法があるのですが、遠赤外線をあてるもの、蒸気式で乾燥するもの・除湿式で乾燥するもの、高周波を当てるもの、真空内で乾燥するもの、バイオの力を利用し乾燥させるもの様々あり、どの人工乾燥も湿度・温度管理をしながら人工的に乾燥させます。
最終の人工乾燥を方法により異なりますが、4週間前後実施して、10%以下に含水率を減らし、しっかり乾燥させます。


乾燥時は木の水分が多く乾燥が進むのですが、ある一定の温度・湿度の環境で放置すると最終的にほとんど動かなくなるようになります。その含水率を「平衡含水率」といます。
分かりやすくいうと、木がいちばん落ち着く乾燥状態で、木材はその平衡含水率を目指していきます。

そこにくると木は湿度が高いと水分を取り込み、湿度が低いと水分を放出する木材の調湿機能を発揮します。
これをよく言う木材の呼吸といいます。
酸素の呼吸ではなく、水分の出入りのことを言い、自然の除湿乾燥機のような役割で、非常に優れた効果です。

その「平衡含水率」は場所により異なり、一般的に屋外約20%、屋内は12%前後、状況によりそれ以下にもなり環境下で異なります。

季節に応じたエアコンの使用で屋内の乾燥状態は異なり、冬の暖房を使用する時期は乾燥が非常に強くなり、逆に梅雨に除湿しないと湿気が多くなります。
季節・環境で「平衡含水率」はことなり一枚板はそこを目指すので、水分を放出・取り込む調湿効果を発揮するのです。

その水分の出入りにより収縮が発生し、反り割れが発生し、またそれが戻ったりもします。
その動きがあるため、一枚板・無垢材は「絶対に反らない」「絶対に割れない」がないのです。
「ほとんど反りません」と言い方を濁しているところもありますが、乾燥した一枚板を店舗に置いたものが反っているように、どんな乾燥方法をしても「絶対」はありません。

また、工場内や店舗内と自宅の環境は大きく異なりますので、初めのうちは木材も動きやすくなります。
乾燥不足でも動きますし、過乾燥でも動きます。
調湿効果はとてもするれた効果ですが、その時収縮・反りも発生しまうのです。

ですが人工乾燥までかけて十分含水率を下げた一枚板は、反っても使用に問題があるほど反りません。
人により感覚は異なりますが、ほとんど気にならないレベルです。

ですが一枚板・無垢テーブルご購入後は過度な乾燥・湿度が高い状態をなるべく避けるように心がけてください。

湿度管理は一枚板の為だけではありません。
乾燥はインフルエンザ等の菌が繁殖しやすくなりますし、湿度が高い場合は住宅のカビの発生リスクも上がります。

人にも、家にも、一枚板にも良いので、湿度を気にしていただくと良い環境で生活できると思います。



一枚板の割れについて


先ほどの反りと同様に一枚板から水分が抜ける際割れが発生する場合があります

一枚板は丸太の状態では水を地面から枝葉まで吸い上げていました。
その仕事は気の道管という目に見えない管が無数に下から上まで走っています。

一枚板として製材した木材は小口(側面)により多くの道管の断面があらわになっています。
ホースの断面が出ているのと同じ状況ですので、小口がより水分の出入りが多いです。
単純に道管内の水が抜けるだけではなく、更に小さい細胞レベルの結合水の抜けになるのですが、ホースの水が抜ける感覚が分かりやすくてよいかと思います。

乾燥を始めると一枚板の水分がどんどん抜けていくのですが、全体が均一に抜けていくのではなく、水の動きやすい小口や表面の水分が早く抜け、時間をかけて中央の部分が抜けていきます。

水分の抜けには時間差が生じるのです。

この時間差が割れの原因となっています。
小口側の水分が抜けると小口側の水分が抜けて木材が収縮(痩せ)します。
中央部分はまだ収縮が弱くその差が割れとなって発生します。

細かいクラックはほとんどの一枚板の乾燥時に起きるものですが大きく割れが発生するものもあります。
乾燥が終われば更に割れが広がる可能性は少ないですが、湿度・環境が変われば木材は呼吸し収縮しますので少し割れが広がるリスクがあり、また新たな部分から割れる可能性もあります。
割れにはしっかりチギリで割れの広がりを防ぎます。

詳しくは≫製作のこだわりにてチギリの説明をご覧ください。


一枚板基礎知識のまとめ


簡単ではありますが、以上が一枚板・無垢材の特徴になります。
上記の内容をまとめると

・一枚板・無垢材の乾燥度合いは「含水率」という表現をする。
・一枚板・無垢材には「板目」と「柾目」というカットする向きによる木目の違いや反りの違いがある。
・一枚板・無垢材は乾燥が非常に重要である。
・乾燥の工程は自然乾燥と人工乾燥に分かれる。
・使用環境の「平衡含水率」という木の落ち着くところまで水分の出入り「呼吸」をし、「平衡含水率」を目指して呼吸を続ける。
・どれだけ乾燥させても、環境の変化で「平衡含水率」は異なるので、木材の「反り」「割れ」のリスクは伴う。
・一枚板・無垢材には「反らない」「割れない」はない。


ここまで読んでいただいたあなたは、もう一枚板の知識がついていると思います。
ここからはEury dikeはこのリスクに対してどう対応しているのか、一枚板製作時にどんなこだわりをもって製作しているのかを御覧ください。

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